人工血管のコーティング

昔の人工血管(昔というと25くらい前の話になります)は人工繊維を編んで作っているのですが、人工血管自体から血液がジュワーっと漏れました。ですからプレクロッティングといい、人工血管を使用する前に血液を人工血管の血管壁に塗り付けて、血栓で人工血管の目詰まりをさせて漏れないようにしたり、アルブミン溶液を塗布し、加熱して人工血管の目詰まりをさせて(タンパク質の凝固作用)使用していました。色々と大変でしたが懐かしく思い出します。その後は様々なコーティング材料を用いて人工血管の漏れを防ぎ、安心して手術が行えるようになりましたが、術後に熱が出たり、血液検査で炎症の反応がいつまでも残ってしまい感染症との判別が難しかったり。はたまた人工血管周囲に体液が漏出したりと、術後の心配事がありました。でも近年発売されている人工血管はそのようなこともほとんどなく、とても安心して使用できます。技術の進歩に感謝!メーカーの方々の努力だと思います。これからも患者様の為に良い製品を開発してください。よろしくお願いします。IMG_0521

心臓血管外科医 菊地慶太