食事の欧米化と病気⑤

食生活の変化,とくに洋風化がもたらしたものは,先進国病という問題でした。昭和56年の国民栄養白書では「昭和30年以降の急速な経済成長とともに国民の生活環境は著しい改善をみることとなってきたが,一方において,肥満,貧血,高血圧,糖尿病のいわゆる成人病が増加しはじめ,疾病と食生活の関係が指摘されるようになった」として、日本型食生活への回帰を唱えられました。また、農林水産省の食糧需給表からは、60年度は摂取カロリーの48%とほぼ半分を主食である米から摂取してきたのに対して,02年度には24%と,わずか4分の1にまで減少しており,米が主食?という状態になっていました。米の摂取減少に代わって増加したのが畜産物,油脂類等でした。また時代と共に日本における死亡原因は変化してきています。現在では悪性新生物の次は心臓病や脳血管疾患といって、動脈硬化や生活習慣病が原因で引き起った病気が増加しました。これは食生活の変化がもたらした結果によるものです。また食生活と病気とのかかわりも重要視され、癌、糖尿病、心臓病は“食原病”とも言われて食事と深いかかわりがあるといわれています。食生活の変化は体に様々な影響を与えます。

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心臓血管外科医 菊地慶太