以前人工弁には2種類あるお話をいたしましたが、また同じようなお話になります。
人工弁は金属でできた機械弁、牛や豚など生体組織から作られた生体弁の2種類があります。
機械弁はとても耐久性が良いので恐らく一生涯壊れないと思います。長持ちです。但し、何もしないと機械弁の金属の部分などに血栓が形成されてしまいます。これでは機械弁の動きが悪くなったり、脳塞栓を発症するため、血栓をできにくくするためにワーファリンという、血栓予防の薬を飲む必要があります。ワーファリンは機械弁をいれたら必ず一生内服する必要があります。ワーファリンはビタミンKが嫌いです。薬の危機を悪くするからです。ビタミンKが多く含まれている納豆、青汁、クロレラなどは食べたり飲んだりできません!でも耐久性はとても良いので、再手術(人工弁の入れ換え)の可能性はとっても低いのです。
生体弁の耐久性は約10~15年とこちらも良好です。生体弁は機械弁に比べて血栓を作りにくいために、術後の3か月はワーファリンを内服していただきますが、それ後はワーファリンの内服は不要です。食品の制限などもありません。
ワーファリンを飲むことによるリスクは、効かないと血栓ができ、それによって脳梗塞が起きてしまったり、効きすぎると脳出血を引き起こしたり、しっかりと管理して内服をしていただく必要があります。一方生体弁は再手術の可能性が少しあります。10~15年で20%弱の方にその必要性があります。そうはいっても最近の生体弁は耐久性や性能が良いですよ!
心臓血管外科医 菊地慶太