心臓弁膜症の治療①

弁膜症の治療には順番があります。通常はすぐに手術ではありません。まず最初に行う事は薬物による治療です。薬では弁膜症自体を治すことは残念ながらできません。弁膜症によって負担がかかっている心臓を助ける治療です。弁膜症は、たとえば大動脈弁狭窄症などでは心臓の出口にある扉である大動脈弁が、動脈硬化症などで狭くなっています。その狭い出口から血液を全身に送り出すのは大変な仕事です。これを補助するのが強心剤などです。利尿剤、血管拡張剤などを用いて負荷となっている循環血液量も調節します。僧帽弁閉鎖不全症などでは逆流によって心臓の中の血液量が増加して負担がかかります。これも薬剤によって負荷を軽減します。不整脈などが出現している場合にも、抗不整脈薬などを用います。血栓予防に対して抗凝固薬であるワーファリンとい薬も用いることがあります。それと同時に少し安静にして頂いたり、水分摂取や塩分摂取の制限を行わせていただくこともあります。まずは心臓の負担をとる事です。但し、初めて弁膜症が見つかった時には病状がとても進行している患者様もいらっしゃいます。その場合には早期に手術が必要な場合もあります。患者様の病状に適した治療を行う事が大切です。img_5445.jpg

心臓血管外科    菊地慶太