動脈瘤の治療方針

大動脈瘤の治療方針というと大げさに聞こえるかもしれませんが、どのくらいで治療を行うのかというところがあります。なぜなら大動脈瘤は症状が無いので治療を行うか否かは患者様の具合では決められません。どのように決めるのかというと大きさです。大動脈瘤の大きさによって治療を決定します。なぜ大きさかというと、大きさによって動脈瘤が破裂(破れて大出血すること)の危険度が変わるからです。言い換えると“破裂する可能性が高くなったら治療を行う”ということです。見つけたらすぐに手術やステントグラフトを行えばいいではないかと思うかもしれませんが、手術ステントグラフトもいずれもリスクが伴います。少ないですが“ゼロ”ではありません。ですから天秤にかけるのです。では本題です。どのくらいの大きさで治療を行うかというと、

 腹部大動脈瘤:一般的には5~5.5㎝以上の直径(最大短径)です。

形状によっては4㎝以上で治療を行う事もあります。

 胸部大動脈瘤:一般的には6㎝以上の直径(最大短径)です。

形状によっては5㎝以上で治療を行う事もあります。

 また拡大速度半年で5㎜以上の場合にも考慮されます。

動脈瘤の形状によっては、もっと小さくても治療を行ったほうが良い場合もあります。

 この計測値はCT検査で得るものです。CT検査では大動脈を輪切りにした像が得られます。この輪切りとなった動脈の直径を計測します。上から下まで(頭側から尾側まで)の最大の短径を見てゆきます。

以上のように検査を行い、動脈瘤の大きさを計測して治療のタイミングを決定します。 パパのiphoneに入っていた写真とVIDEO 320

心臓血管外科医 菊地慶太