トランス脂肪酸とは、植物油の精製の際などの過程で副産物として生じるものです。一般的にはマーガリンやショートニングなどに多く含まれるといわれる脂肪酸です。
農林水産省のホームページにも
「トランス脂肪酸を多くとると、血液中のLDLコレステロール濃度が増加し、さらに、HDLコレステロール濃度が減少することが示されています。トランス脂肪酸を多くとりつづけると冠動脈性心疾患のリスクを高めることも示されています。」
と記載されています。
日本人のトランス脂肪酸の摂取量は諸外国と比べて少ないといわれていますが、マーガリンやショートニングを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。食生活の欧米化に伴い、これらの食べ物の摂取量は特に小児期や学童期から増えてくるのではないでしょうか。現在では日本の食品メーカーもこのトランス脂肪酸に着目して、トランス脂肪酸の含有量を少なくす努力をされているようです。悪玉コレステロールであるLDLコレステロールは、動脈硬化症を促進して心臓病や脳卒中などの原因となります。バランス良い食事と、質の良い脂質の摂取などがとても大切です。
心臓血管外科医
菊地慶太