どのような方がMICS(低侵襲心臓手術)を受けられるのかというと

MICSの適応についてです
基本的には狭心症や心筋梗塞後の患者様、心臓弁膜症の患者様、一部の大動脈瘤などの患者様が適応になります。具体的な手術の方法としては、冠動脈バイパス術、僧帽弁形成術や僧帽弁置換術、大動脈弁置換術やそれらの複合手術。心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などです。特に冠動脈バイパス術(MICS CABG)では世界に先駆けて両側の内胸動脈を用いた手術を行っております。また最高で6か所のバイパスも行うことができます。心房細動のある患者様に対しては、MICS用に開発された最新の凍結凝固によるアブレーション機器を新たに導入し、心房細動に対するMAZE手術もMICSにて行っております。特に弁膜症のMICSでは4K内視鏡を用いて行っておりますので肋骨を開くことも少なく術後の痛みも軽減されています。このように多くの疾患や患者様に対してMICSを行うことができます。しかし小さい傷で手術を行うので心臓の機能が良くない方や心臓が大きい(心臓が拡大している)患者様は良い適応ではありません。全身の動脈硬化症が強い方や血管の性状が悪い方も適応から外れることがあります。更に緊急手術が必要な患者様は安全のためMICSは行いません。
MICSではその適応を決めることがとても大切です。多くの患者様に対してMICSで行うことができるかどうかについては、術前に行うCT検査や心臓超音波検査をはじめ、多くの検査結果と全身状態などの情報をもとに十分に評価をして判断いたします。

東京ベイ浦安市川医療センター 心臓血管外科
菊地慶太