MICS(低侵襲心臓手術)

MICS(低侵襲心臓手術)というとなんだかすごくたいそうなものと思われがちですが、私はMICSとは患者さんの心臓に対するアプローチの方法であると考えています。そのアプローチの仕方の何が違うかというと、まずは傷の大きさです。傷が小さいと手術は少し難しくなります。ですから外科医の技術は重要になります。しかし胸骨を大きく開けてしまうのか部分的に切開するのか。それとも胸骨を全く切らずに手術を行うのか。これが一番の大きな差(メリット)であると考えています。これまでMICS CABGの紹介を数多くしてきましたが、弁膜症を含めたMICS(低侵襲心臓手術)も数多く手掛けています。右胸の小さい傷から行う僧帽弁の手術や三尖弁、不整脈(MAZE)手術。また胸骨下部部分切開により行う大動脈弁手術や大動脈弁や僧帽弁の複合手術など。あらゆる部位から心臓にアプローチして行います。患者さんによっては下行大動脈(背中側に位置して動脈血を全身に送る血管です)に動脈硬化の病気があって人工心肺のセッティングが困難なことからMICSの適応ではないと判断されてしまうことがあります。そのようなことが少なくなるように、多くの患者さんに安全に提供できることが大切です。術前検査によって心臓へのアプローチを変更すること。患者さんに合わせたオーダーメイドのMICSを安全に提供することが大切であると思います。img_4174心臓血管外科医 菊地慶太