弁膜症に対するMICS(低侵襲心臓手術)はいくつかに分かれます。現在MICSを行っている多くの病院では直視下手術と言って、直接目で見て手術を行っています。また少ない数ですが、内視鏡を用いて手術を行っている病院もあります。
視下手術
僧帽弁のMICSは多くの場合、右の前胸部を小さく切開して手術を行います。また胸骨部分切開といって、胸の真ん中を小さく切って僧帽弁のMICSを行う事もあります。この場合には複合手術が可能です。私の手術では、大動脈弁置換術と組み合わせたり、不整脈手術であるMAZE手術を行ったりしています。
大動脈弁のMICSでは、胸骨部分正中切開による胸の真ん中を小さく切開して大動脈弁置換術を行う方法と、右の第3肋間を切開して行う方法があります。
冠動脈バイパス術ではMICS CABGやMID CABといって左の前胸部の小切開で通常と同じような冠動脈バイパス術を行います。これは私の得意な手術の一つです。
内視鏡下手術
僧帽弁MICSは、内視鏡下でも右の前胸部を小さく切開して手術を行います。違いは肋骨を大きく開けない事です。これは術後の痛みをとても和らげます。
大動脈弁MICSでは、右の腋の下の切開で手術を行います。これは名古屋第一赤十字病院 伊藤敏明が得意とする手術術式です。
最近ではロボットを使った手術も報告されますが、保健診療が出来ないので全て自費での手術となります。一般的ではありません。
いろいろとありますが、今後更に進化してゆくと思います。
MICSの更なる安全性と確実性の向上、患者様の体への負担が軽減されることが一番ですね。傷も小さく痛みも少なく、怖くない心臓手術が望まれます。
心臓血管外科医 菊地慶太