MICS CABGを行い始め当初は、普通の冠動脈バイパス手術の手術器具を用いて内胸動脈の採取を行っていました。普通の道具とはハーモニックスカルペルという超音波手術機器と電気メス。それととても長い攝子(手術用のピンセット)です。でも傷も小さく胸の中での操作距離が遠いため、それでは不十分になってしまい、MICS (低侵襲心臓手術)専用の攝子を使っています。ハーモニックスカルペルもかなり長いものを使っています。また血管の吻合において、大動脈への大伏在静脈などの吻合では10㎜の針のついた6-0の細い針を、これもMICS 専用の持針器で縫っています。この細い糸を結ぶときにはノットプッシャーといい、指の入らないところでも糸が結べる器械を使っています。その他は従来からの手術機器を用いていますが、人工心肺は用いない方法で行っています。手術件数も増えており専用の手術器械の方が慣れてきています。今度はMICS CABG用の新しい手術器械を開発しないといけませんね。お楽しみに!
心臓血管外科医 菊地慶太