近年、急性大動脈解離に対して人工血管置換術を行った後に、暫くして大動脈がすこし拡大してきた時点でTEVAR（胸部大動脈ステントグラフト内挿術）が行われるようになってきています。基本的には急性期ではなく、慢性期の下行大動脈の残存解離（術後に残っている解離をした部分）に対してです。さらには急性期に行う施設も出てきています。学会や研究会などでその成績を見てみると、結構良い成績です。胸部大動脈の慢性解離に対する手術治療（人工血管置換術）より良い結果が出てきているようです。左胸を袈裟懸けのように大きく切る手術より、患者様の生活は良いのではないでしょうか。大動脈の手術は得意分野ではありますが、大きく切開して行う手術をすればするほど抵抗も感じます。当然　結果が全てですし、またTEVAR（胸部大動脈ステントグラフト内挿術）が行える患者様と行えない患者様がいらっしゃいます。しかし、できるだけ少ない体への負担で治療が行える方がいいですよね。

心臓血管外科医　菊地慶太