日本では55~60%の冠動脈バイパス術で、人工心肺を用いないで行う心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB:Off pump CABG)が行われています(日本冠動脈外科学会の年次報告より)。吻合する冠動脈は1.25~2.5mmの細さです。吻合する血管(グラフト)は2.0~4.0mm程度。細かい作業でミリの世界です。これを髪の毛より細い針と糸で縫います。もちろんしっかりと縫合してバイパス血流が良く流れないと話になりません。しかし心臓が動いているわけですから様々なテクニックを使います。心臓の動きを少なくするには薬剤を用いたり、水分バランスを整えたり、更には術者や助手の技術で行います。人工心肺を使わない利点を引き出すためには、心臓外科医の引き出しの数が決め手になります。患者さんの体の負担を最小限にして、最大限のバイパスの効果を引き出すことが重要です。技術の研鑽が何よりも大切なのです。
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東京ベイ浦安市川医療センター 心臓血管外科
菊地慶太
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