OPCABについて

人工心肺を用いない冠動脈バイパス術をOPCAB(Off pump CABG)といいます。これまで多くの利点があるといわれてきましたが、この数年間で否定的な論文が出てきております。長期的な観点からみると成績が悪いというものです。大きな要因は技術的なものです。動いている心臓に血管を縫いつけてバイパスを作成することは、多くの外科医(若手を含めた)にとっては容易ではありません。そのためうまく縫えない結果長期予後が悪くなるというものです。当然ですが技術的に優れている医師であれば問題はないと考えられてもいますし、そのような結果もあります。では外科医がすべきことは何か?という事です。1、OPCABをやめて従来からの人工心肺を用いた冠動脈バイパス術に戻る事、ある意味勇気ある撤退です。しかし技術の革新は無くなります。2、いかにOPCABの成績を良くするか、更に突き詰めて研究する。特に技術的にどのように確実で容易な手術としていくか。以上の2点が進む方法ではないかと考えます。私は後者を選びます。いかに容易にまた確実にOPCABを行うかという事を極めるべきであると考えています。当然適した手術を患者さんに提供するのは医師の使命、ですから安全第一で丁寧な手術を行います。でもこの世界、技術の革新なくしたら…..。前へ進む道を選び更に技術の革新をしていきたいと思います。心臓血管外科医 菊地慶太